【読書記録】親といるとなぜか苦しい「親という呪い」から自由になる方法

親しい友人にもなかなか打ち明けるのが難しい親との関係について、その付き合い方や考え方をまとめた一冊。家庭内のことは、外からではわからないからこそ、とても参考になる一冊でした。

手に取った理由

子どもの頃にはこういうものだと思っていた親との関係ですが、少しずつストレスや違和感を自覚し、親元を離れたくて実家から遠方の大学へ進学、卒業後はそのまま首都圏で就職し、地元に戻ることのないまま今に至ります。

実家を出たばかりの頃は、年に数度帰省したり、親との連絡もまめに取っていましたが、父親と連絡を取った後は辛くなって泣いてしまったり、帰省して家に戻るとどっと疲れが出たりすることを繰り返して来ました。

そして、結婚し子どもを持ってからのいくつかの出来事を経た今は、今後、夫や子どもを父親にあわせることはしないと心に決めるに至りました。

医療系のマンガを読む中で、愛着性パーソナリティ障害というものを知り、おそらく父親はこれなのだろうと確信してからは、私のなかである程度気持ちに整理がついていたのですが、この本のタイトルを見た途端に「あ、わたしだ」と思い、すぐに読み終えました。

読んでみてわかったこと

「精神的に幼い親がいる」、「精神的に幼い親は、子ども時代に満たされていない」という内容に納得しました。また非常に驚いたのは、良好な関係を築いている母親はおそらく「受け身の親」にあたり、父親の理不尽な主張や怒りから助けてくれない親として、こちらも少々問題があることに気がついた点です。ただし、これに気がつくことによって、子どもだけに否があるわけではないと理解でき、心が軽くなりました。

書籍では、無理に親に付き合う必要はないこと、自由になる権利を持っていることが説明されています。親元を離れた今、どのような選択をして、親や周囲の人とどのような関係を築くのか、私自身が自由に決めることができ、またそれに罪悪感をもつ必要がないと自信を持つことができるようになりました。

著者

リンジー・C・ギブソン

臨床心理学者。精神的に未熟な親に育てられた人たちのセラピーをおこなう民間の病院に勤務。女性誌に「幸福」についてのコラムを毎月寄稿したり、過去に大学でも教鞭を執る。親子の愛着に困難を抱える人たちのサポートを精力的におこなっている。
本書はアメリカでの発売以来、版を重ね続けている大ベスト&ロングセラー。26カ国で翻訳出版され、「自分勝手で成長しない親」を持ったすべての人たちにとっての「回復の書」として熱烈な支持を集める。

Amazon

岡田尊司(オカダ タカシ)

精神科医。岡田クリニック院長。東京大学文学部哲学科に学ぶも、象牙の塔にこもることに疑問を抱き、医学を志す。京都大学医学部卒業後、同大学院精神医学教室などで研究に従事しながら、京都医療少年院、京都府立洛南病院などに勤務。2013年に岡田クリニック(大阪・枚方市)を開院。『母という病』(ポプラ社)『愛着障害』(光文社新書)『発達障害グレーゾーン』(SBクリエイティブ新書)など多くの著作を通じて、人々の生きづらさに向き合っている。

Amazon

岩田佳代子(イワタ カヨコ)

翻訳家。清泉女子大学文学部卒。訳書に『フェミニスト・ファイト・クラブ』『ジェーン・グドール 希望の教室』(ともに海と月社)『幸運を呼ぶウィッカの食卓』(パンローリング)など多数。

Amazon

目次

  • 監訳者のことば
  • 一見「普通の家庭」、その中に潜む生きづらさから抜け出す
  • 精神科医 岡田尊司
  • はじめに
  • 「私の家はどうしてこうなの?」を抱えているすべての人たちへ
  • チェックリスト あなたの子ども時代は?
  • 1「精神的に未熟な親」が子どもの人生に与える影響
  • 2 親の「心理」と「行動」を見抜く
  • 3「精神的に未熟な親」がとなりにいるとき
  • 4 精神的に未熟な親「4つのタイプ」
  • 5 重荷を背負い、乗り越えてきた人生
  • 6「1人でがんばる」のをやめる方法
  • 7 回復がスタートする「小さな瞬間」
  • 8 人に巻き込まれず、新しい関係をつくる
  • 9 あなたが手にしている「9つの自由」
  • 10「本当に大切にすべき人」の見極め方
  • 参考文献

おわりに

親や家族との関係に違和感や負担を感じている人にとって、生き方のヒントが得られる本だと思います。平易な文で書かれているので読みやすく、短時間で読み切ることができました。著者が応対してきた方のコメントや事例も記載されているので、自分のケースと比べて考えてみることができるのも良いと思います。